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収納の多い家は本当に快適?収納計画で失敗しないためのポイント
2025.03.15
目次
間取りは、完成後の暮らしやすさを大きく左右する重要な要素です。特に小さなお子様がいるご家庭では、現在の生活スタイルだけでなく、子供の成長や家族の将来を見据えた計画が必要不可欠です。しかし、多くの方が「間取りの決め方がわからない」「失敗が心配」といった不安を抱えていらっしゃいます。
そこで今回は、理想の間取りを実現するためのポイントを、プランニングの流れに沿ってご紹介していきます。
間取りづくりの第一歩は、家族会議を開催して、家族全員の要望を丁寧に聞き取ることです。「広々としたリビングが欲しい」「収納をたくさん設けたい」「友達を招きやすい家にしたい」など、それぞれの希望を出し合いましょう。中には「キッチンはアイランド型がいい!」「書斎は必須!」「ビルトインガレージが欲しい!」といった具体的な要望もあるでしょう。
ただし、すべての要望を実現することは難しい場合もあります。そのため、限られた予算と敷地面積の中で、優先順位をつけていく必要があります。
例えば、共働きのご家庭であれば、家事効率を高める動線計画を重視する、お子様が小さい場合は目が届きやすい間取りを優先する・・・といった具合です。
また、現在の生活スタイルだけでなく、将来の変化も考慮に入れましょう。子どもの成長に伴う個室の必要性、親の介護の可能性、在宅ワークの増加など、ライフステージの変化を見据えた計画が重要です。
間取りをプランする前に、まずは敷地の特徴を詳しく把握することが大切です。道路との位置関係、日当たり、周辺環境、土地の形状や高低差など、様々な条件によって間取りのプランは変わってきます。
例えば、交通量の多い道路に面している場合は防音性を考慮して寝室を道路と反対側に配置する、隣家が近い場合はプライバシーに配慮して窓の位置や大きさを工夫する・・・といった対策が必要です。また、車の出し入れのしやすさを考慮して駐車場の位置を決めることも重要なポイントです。
敷地条件を踏まえた上で、次は住まいの中の空間を目的別にグループ分けする「ゾーニング」を行います。これは間取りづくりの土台となる重要な作業です。それぞれのゾーンごとのポイントをご紹介します。
<パブリックゾーン>
まず、パブリックゾーンとなるリビング・ダイニング・キッチンは、家族が集まり、くつろぐ空間。そのため、一番日当たりの良い場所に配置することをおすすめします。特にリビングは、家族の団らんの中心となる場所。窓を大きく取り、明るく開放的な空間とすることで、家族が自然と集まってくる場所になります。
<プライベートゾーン>
プライベートゾーンの寝室や子ども部屋は、静かでプライバシーが確保できる配置を心がけましょう。特に子ども部屋は、成長に応じて間仕切りで区切れるなど、可変性のある計画が望ましいです。また、在宅ワークのための書斎スペースも、仕事に集中できる環境づくりが重要です。
<サニタリーゾーン>
サニタリーゾーンの浴室、洗面所、トイレは、できるだけまとめて配置することで、配管工事費用を抑えられるだけでなく、家事効率も上がります。洗面所は、洗濯物の動線を考慮した位置に。また、2階建ての場合は、1階と2階それぞれにトイレを設けることで、生活の利便性が高まります。
<エントランスゾーン>
エントランスゾーンは、来客を迎える顔となる空間です。十分な収納スペースを確保することで、玄関まわりをすっきりと保つことができます。最近では、コート類を収納するクローゼットや、ベビーカーなど大型の収納スペースを設ける家庭も増えています。
ゾーニングが決まったら、次は家の中での移動のしやすさを考える「動線計画」を考えましょう。動線には、家事動線、生活動線、通勤・通学動線(ただいま動線)、衛生動線、来客動線などの種類がありますが、特に重要なのが、家事動線と生活動線です。
家事動線は、主婦の方の負担を軽減するため、できるだけ短く効率的に計画しましょう。例えば、キッチンを中心に、冷蔵庫、パントリー、ダイニング、洗面所などを適切に配置することで、料理や後片付け、洗濯などの家事がスムーズに行えます。
また、2階建ての場合は階段の位置が重要なポイントとなります。玄関から近い位置に設ける場合は、直接2階に上がれる利便性がありますが、家族の顔を合わせる機会は減少します。一方、リビング階段とすることで、自然と家族のコミュニケーションが生まれやすくなります。
来客動線も忘れてはいけないポイント。玄関からリビングまでの動線上に、洗濯物や生活感の出る場所が見えないよう工夫することで、急な来客時も安心です。
次に、各スペースの間取りについて考えていきます。
<LDK>
リビング・ダイニング・キッチンは、家族構成や生活スタイルに合わせて広さを設定します。4人家族の場合、LDK全体で17~18帖程度が一般的です。キッチンは、料理をしながら家族と会話ができる対面型やアイランド型が人気ですが、来客時に生活感を隠せる独立型を選ぶ方も。収納力のあるパントリーを併設すれば、さらに使い勝手が良くなります。
<子ども部屋>
子ども部屋は、将来的な間仕切りを想定した広さ設計が重要です。兄弟・姉妹がいる場合は、小学校低学年までは一つの空間で過ごし、高学年以降に個室として分けられる可変性のある間取りがおすすめ。学習スペースと就寝スペースを分けることで、生活リズムも整いやすくなります。また、男女の兄妹・姉弟の場合には、将来的に部屋を分ける可能性が大きいですが、同じ性別の兄弟・姉妹の場合には、カーテンや間仕切りを設ける程度で、ずっと広い空間のまま使える可能性もあります。
<水回り>
水回りは、家事効率を考慮した配置が鍵となります。洗面所は、洗濯物を干す場所への動線を意識し、浴室は脱衣所との段差をなくすバリアフリー設計も検討しましょう。
<収納>
収納については、各部屋に必要な量を確保することはもちろん、季節物の収納や掃除道具などの収納場所も忘れずに計画します。最近では、玄関にシューズインクローゼットを設けたり、2階にファミリークローゼットを配置したりする例も増えています。収納は動線とも大きな関わりがあるので、実際の暮らしをシミュレーションしながら配置を考えましょう。
次に、間取りのプランニングで失敗しがちなケースを挙げました。次の点に注意して、ベストな間取りを考えましょう。
<収納が足りない>
間取りの失敗で最も多いのが、収納スペースの不足です。新築時は空間に余裕があるように感じても、実際に暮らし始めると物が増えていくもの。各部屋の使用目的を明確にし、必要な収納量を算出しておくことが大切です。
<家事動線の効率が悪い>
また、家事動線の非効率さも要注意。水回りの配置が分散していたり、洗濯物の動線が長かったりすると、日々の家事が大きな負担となります。家事の流れをイメージしながら、効率的な動線を確保しましょう。
<採光や通風不足>
採光や通風の不足も、暮らしの快適性に大きく影響します。窓の位置と大きさは、プライバシーとのバランスを考慮しながら慎重に検討する必要があります。
自分たちだけで間取りを考えたら、それを住宅会社のプロに見せて相談することも重要です。プロにしかわからない間取りの落とし穴や、自分たちには思いもつかない「ここをこうすればもっと便利になる」という提案をしてもらえます。
また、立地条件や方角、風通しや採光など、さまざまな条件から立体的に間取りを考えてアドバイスしてもらえるので、プロの話に耳を傾けることも大切です。
いずれにしても、間取りづくりは、家族みんなで考え、話し合いながら進めていくことが大切です。現在の生活スタイルはもちろん、将来の暮らしもイメージしながら計画を立てていきましょう。